Dec 22, 2011

For Young Researchers(book)

演習室のマグカップ、
Viva Shinjuku
って書いてある(笑)


この本、内藤記念科学財団の広報誌の巻頭に載る、ありがたいお言葉を三十年ぶん集めたもの。圧巻です。科学者の先生方だから、研究分野の用語はちんぷんかんぷんだけど(例「いまやUV、IRはもとより、マスペクトル、H+-NMR、C13-NMLを駆使して、たちどころに化学構造が推定され、X線解析によれば立体化学まで解明されることになる。」)、研究者ソウルは伝わる。また、昔からいってることだが、昔の人は文章がとにかくカッコイイ!しびれる。

「学校の秀才は、所詮16年間の王者である。残る人生)50年は、この秀才の限界を越えたところに、よりどころを求めるべきであろう。既成のパターンにかかわらず、勇敢に枠を離れ、小さくまとめようとせずに、大きな輪を描き、怪我を恐れず何かをなしとげるよう努力する。」

「人間は一生の大事と思われることを、『夢見る』思いで定めてしまうことが多いものである。そして、私はその方が良いと思い、むしろそうすることをすすめるものだ。(略) 打算的にならず、夢が大きな動機になることがよく、そうすれば後で悔やむこともない。」(41ページ)

「最後に私がお見舞いしたときも、多くは学問上の話だった。その中で、『自分はまず10歩前進する。たとえのちに9 歩退くことがあろうとも、最初から一歩だけふみ出したよりは進歩があると思う』といわれたのは、はからずも先生の長年の研究態度を要約して表明されたものと思う。そして、これが先生の最後の訓えとなった。」(57ページ)

「研究者は常に自分で考え、自分で目を開き、また時には自分で目を閉じ、心の中にいつもある種の準備状態が必要であり、こういった心の自由度が自分でも判るようになると、自分の仕事に『主となる』状態が生まれる。」(60ページ)

「しかし君、タンパク質は泥沼だよ。腹を据えてやることだね。」(78ページ)



かと思えば

「財団からこのような(若手にむけたありがたいお言葉)を依頼されて、そくざに断ったけどダメだと言われて困ってしまった、仕方ないから若いときのことでも書いて空白を埋めようと思う」

みたいな人もいて笑える。(でもそういう人も略歴みてみるとほんとにスゴイ人…まあ、そうだよね。内容もそうはいってもちゃんとしている)

この本、学校が買ってくれた(私が選んで図書館に入れた)やつの中のひとつなんだけど、そんな高くもないし、買って手元におこうと思う。すばらしい。だけど、書いてる人の中に女がひとりしかいない。それだけ残念!

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